導入事例

アート電子 株式会社様の事例

アート電子 専務取締役(元営業部長)伊藤規晋様
業務課試作支援チーム マネージャー 鈴木友和 様

静岡県、浜松市で、プリント基板の試作支援を営む、アート電子の、専務取締役(元営業部長)伊藤規晋氏(写真左)と、業務課試作支援チーム マネージャー 鈴木友和氏(写真右)に、その営業観と、eセールスマネージャーの活用ノウハウとを聞いた。

アート電子 専務取締役(元営業部長)伊藤規晋様
業務課試作支援チーム マネージャー 鈴木友和 様

INDEX

アート電子の業態 ~ プリント基板の試作品開発のトータルサポート

-- アート電子の業態について教えてください。

アート電子は、プリント基板の試作、開発をトータルに支援する会社です。電気製品やパソコンを開けると、中に、色々なチップ等が載った、みどり色の板があります。あれがプリント基板です。プリント基板は、印刷(プリント)の手法で大量生産します。大量生産(印刷)に先立ち、試作品(版下)を確立する必要があります。

アート電子は、その試作品の、設計、製作、難点洗い出し、再設計などを、一貫してお手伝いする会社です。

お客様は、東海地方に多くある、自動車メーカーや部品メーカー、電子機器メーカーの開発部門です。特に強みがある技術は、シグナル・インテグリティ、 Signal Integrity)、伝送線路などです。この分野では、大手メーカーからもコンサルティングの依頼が来ます。

開発部門の皆様は、いつも社内から「早く開発しろ。早く試作品を出せ」と急がされています。アート電子の顧客価値は、「開発のスピードアップ」ともいえるでしょう。 創立は1982年。現在の売上げは9億弱。2007年現在の社員数は53名、うち営業は8名です。eセールスマネージャーは2004年に導入しました。

eセールスマネージャーの導入効果 ~ 6人で7億から、5人で9億へ伸びる

-- eセールスマネージャーの導入効果はいかがですか。

営業なので数字で述べます。2004年には6人で7億を売り上げていたのが、2007年には5人で9億に伸びました。一人当たり売上げは1.2億から、 1.8億へ、つまり1.5倍に伸びました。顧客数、取引単価の両方がアップしました。

最近は、新規顧客が、月あたり1社~2社のペースで増えています。見込み客の獲得は、将来の実り、売上げ増を予感させます。将来が楽しみです。

「技術系の会社にしては割合に営業に力を入れている方ではないかと」

-- アート電子においては、技術と営業のどちらを重視していますか。

どちらも重要視しています。技術系の会社のわりには営業に力を入れている方かもしれません。そもそも創業者である社長は、電子部品の商社に勤めていた、営業マンでした。

-- アート電子の営業スタイルは、どのような。

基本的にはルート営業です。東海地区のメーカー、40~50社ぐらいが主な営業対象です。

電子機器メーカー向けのルート営業で大事なこと

-- 今日は、電子機器メーカー向けのルート営業の特徴と課題について詳しく聞きたいと思います。

-- 電子機器メーカー向けのルート営業で大事なことは何ですか。

ルート営業においては、普段からまじめに営業し、お客様に認めてもらい、覚えてもらい、「開発案件が発生したら必ず声をかけてもらえこと」を実現せねば成りません。

営業活動において大事なことは「スピード」、「柔軟性」、「情報量」、「好かれること」の4つです。

第一の重要点、「スピード」。冒頭でも述べたとおり、メーカーの開発部門は、常にスピードアップが課題です。したがって、開発部門ユーザーと接するアート電子の営業にも、常にスピードが求められます。もちろん拙速ではいけません。「迅速かつ、確実に」です。

第二のポイント、「柔軟性(コーディネート能力)」。試作とは「試し作り」と書きます。いろいろ試して、問題があれば、変更する。その繰り返しです。一般には、試作段階で2~3回の変更があります(いつ発生するかは、分かりません)。アート電子の営業マンは、このような二転三転に、「柔軟、かつスピーディ」に対応することが重要です。

お客様が、スピードを求めるあまり、時として、注文がフライング気味になることがあります。ダンドリに矛盾をきたすこともよくあります。そんな時は、逆にチャンスです。的確に対応すれば、信用が得られますから。

第三のポイント、「情報量」。電子機器の営業の場合、営業する相手は開発部門なので、商品知識や業界知識は必須です。製品のバックグラウンドを知らないと、まともな提案はできません。それ以前に、お客様との会話が成り立たないでしょう。

第四のポイント、「好かれること」。ここまで、スピード、柔軟性、情報量が重要だと述べましたが、本当はこの「好かれること」の方が大事かも知れません。開発者、技術者に好かれる営業マンは、「多少わからなくても、必死に話を聞いて、何とかしようという姿勢を見せる人」です。愛想だけ良くて、いざという時にごまかすような人は嫌われます。アート電子では、営業マンには、素直な人を採用するよう心掛けています。

「仕事は覚えろ、盗め」がかつての教育方針

-- アート電子の営業部の、これまでの歴史をお聞かせください。

82年の創業当時は、営業マンは社長だけでした。その後、少しずつ営業マンを増やしました。 私が入社したのは、1989年です。アート電子に入社する前は、繊維商社の営業マンでした。入社当時は、電子部品の知識はまったくありませんでした。

-- どうやって電子部品の知識を得たのですか。

社員教育も特になく、「仕事の中で覚えろ、盗め」という指示でした。当時の営業部長には「この仕事は、覚えることが多くて、楽しいよ」と言われました。当時の私は、仕事のたびごとに、机に向かう設計者の後ろにぴったりくっつきました。一緒に徹夜で設計し、朝一番で、納品しました。そのようなハードな仕事を続けるうちに、確かに自然と知識が身につきました。

-- 専門知識を短期で獲得するためのコツをお聞かせください。

当時の先輩には、「お客に言われた言葉をすぐ使いなさい」と言われました。新しい言葉を知って、その後、すぐ使えば、自分の言葉になる。しゃべった言葉は自分の言葉と思え、とのことでした。やってみると、確かにそうでした。

営業部長に就任してから感じた2つの課題

-- 伊藤氏が、アート電子の営業のあり方に対して問題意識を持つようになった経緯は

2004年頃、営業部員も6人に増え、私も営業部長になりました。その頃、アート電子の営業の課題は、「営業マンの評価基準」と「マーケティングの分化、強化」だと考えました。

第一の課題、「営業マンの評価基準」。当時の営業マンはみな良く頑張っていました。しかし営業マン評価基準は成約数字だけであり、「結果につながっていないにせよ、会社全体の営業を確実に前進させている行動」を評価に組み込めませんでした。営業マンを正しく評価する基準を確立することが課題でした。

第二の課題は、「マーケティングの分化、強化」。それまでは、「まじめ、誠実、顧客満足」を合い言葉に、地道にルート営業を続けてきました。でも、もうちょっとマーケティングを強化するべきだなと考えるようになりました。

アート電子での、「営業」と「マーケティング」の定義

-- アート電子のような「電子部品の開発部門向けの試作サポート」という業態において、「営業」と「マーケティング」の定義は何になりますか。

私の定義では、「アート電子における営業」は、「既存顧客をまわって、既定路線の中で注文をもらうこと。展示会や、Webなどで新規開拓すること」です。一方、「マーケティング」は、「見込み客獲得のためのニーズの吸い上げ」になります。

この意味でのマーケティングの強化は、「マーケティング部を新設」しても実現しません。そうではなく、「営業マンが、もっと外に出て、お客の話聞いて、情報を吸い上げられる状態」、言いかえれば「営業マンが、ずっと社内にいて、業務コーディネートに忙殺されることがない状態」を確立することが必要になります。

新卒第一号営業マン、鈴木氏の目から見た、アート電子の当時の営業体制

-- ここで鈴木氏にお話しを聞きたいと思います。鈴木氏は、1997年に新卒営業マン第一号としてアート電子に入社しました。新人の目から見て、当時のアート電子の営業体制はいかがでしたか。

先ほど伊藤からお話しがあったとおり、体系だった教育はなく、ノウハウは盗め、覚えろの世界でした。私は文系だったので技術知識はありませんでした。入社後、二ヶ月ぐらいは、設計や製造の仕事を、雑務を手伝う中で学び、その後、 6月頃から営業部に配属されました。

当時、私の上には、3人の優秀な営業マンがいました。私から見ると、3人とも営業の手法は異なっていました。

3人とも大筋は一緒です。そこにブレはない。しかし一つ一つの事象に対し、右に行くか、左に行くかの判断。作業一つ一つに対する優先順位の付け方は、三人三様でした。

どのやり方が正しいのか、誰の真似をしていいのか分かりませんでした。結局は、都度都度、「自分の好きなやり方」をまねました。

eセールスマネージャー導入の経緯

-- 伊藤専務が、eセールスマネージャーの導入を考えるようになった経緯は。

宋さんの「やっぱり変だよ、日本の営業」を読んで共感しました。巻末にセミナーの案内があったので早速出かけました。1回目は、共感しつつもホントかなと疑いました。 2回目のセミナーで、本当に納得できました。その後は、社内のコンセンサスを得るために、社長や役員を連れて行きました。結局、セミナーには、5回、出席しています。

セミナーへの出席を通じて、社長や役員もeセールスマネージャーが良い物だと理解してくれました。そして2005年初頭にeセールスマネージャーを導入し、その後、冒頭でお話しした、売上げ増、一人当たり利益増を実現するに至りました。

営業マンにとっては「ラクでもあり、プレッシャーでもあり・・・」になった

-- eセールスマネージャー導入後に、「新たに行ったこと」があればお聞かせください。

eセールスマネージャー導入後に、内勤の「営業アシスタント部隊」を新設しました。かつてのアート電子の営業は、実際の営業の他に、「プロジェクト管理」のようなコーディネート業務が膨大にありました。営業は、常に、営業以外のことで忙しかったのです。

eセールスマネージャー導入後は、営業の仕事を、ひとつひとつ丹念に分解し、営業マンには「純粋な営業活動」のみをさせるよう、プロセスを組み替えました。平たく言えば、営業は朝、会社を出たら、夕方まで帰ってこなくて良いのです。社内への報告は、携帯電話からeセールスマネージャー経由で行えば良い。プロジェクト管理や、顧客への電話対応は、営業アシスタント部隊が、対応してくれます。

このように、営業に集中できる環境が整ったことは、営業マンにとっては「ラクでもあり、プレッシャーでもあり」であるようです。

現場営業マン、鈴木氏の視点:「作業を通じて達成感を味わうことはできなくなった」

-- 鈴木氏にお聞きします。eセールスマネージャー導入後の、現場営業マンとしての感想をお聞かせください。

(鈴木氏): これまでの自分の営業のあり方を、根本から見直す必要を感じています。プレッシャーです。

極端に言えば、以前は「忙しいこと、バタバタしていること、作業をしていること」に充実感を感じていました。「作業達成感 = 仕事達成感」でした。

しかし、今は、そういう「バタバタした作業」は、アシスタントがこなしてくれるので、その「作業を行って達成感を味わうこと」は、不可能になりました。ボサっとしていると、一日中やることが何もなく、空虚になります。

現場営業マン、鈴木氏の視点:「ルート営業の勝ちパターンはこれかなと…」

-- 今は、何に満足や達成感を見出しているのですか。

(鈴木氏):何らかの形でお客様にアート電子の良さを認めていただいた時、その結果、紹介を通じて、お客様の隣接部署、あるいは別の会社へと仕事が広がっていった時に、満足感を感じます。それは「アート電子の良さを自分が伝えきれた」ことを意味するからです。

紹介が増えれば、数字も伸びていきます。ルート営業の勝ちパターンはこれかなと感じています。

(伊藤氏):eセールスマネージャーの導入で、鈴木が「良い意味でのプレッシャー」を感じてくれているのは良いことです。一方、わたしは「営業部が良くなった喜び」と共に「一抹のさびしさ」も感じています。

伊藤氏は、eセールスマネージャー導入後、「少しさびしくなった」

-- 「eセールスマネージャーの導入で伊藤専務が、一抹のさびしさを感じている」とは、具体的には。

2007年現在、私は、営業部には所属しておりません。2007年に専務取締役になり、営業部を抜けました。当時、担当していたお客様の、業務は、リピート注文への対応も含め、すべてをプロセス化し、営業アシスト部隊にまかせることにしました。

アシスト部隊は、皆みなよく働いてくれています。私の顧客の売上げは、私が抜けた後も落ちていません。「ありがとう、みなさん。すごいなeセールスマネージャー」というべきところですが、正直な気持ちとしては、「なんだ、俺が抜けても、売上げは立つのか」と、ちょっと、さびしかったりして…

でも、これからは、ワンランク上の経営に関わる、専務取締役という職務を全力で遂行したいと思います。「今までの仕事から引きはがされて、新天地に放り出された」という点で、私と鈴木は、今、同じ立場ですね。お互い頑張らねばなりません。

eセールスマネージャーはどんな会社、業界に向いているか。向いていないか。

-- eセールスマネージャーが向いている会社、業界はどこだと思いますか。

業界はあまり選ばないと思います。我々のような試作品開発サポートという業態は、一回一回、工程が違うので、割合に特殊な営業になるかもしれませんが、それでも十分、使えていますから。

-- eセールスマネージャーが向いていないと思う会社、業界はどこですか。

製造業の経営者の中には、営業は利益を生まないと考えるタイプの人がいます。そういう経営者に、eセールスマネージャーの価値を伝えるのは難しいでしょう。

今後の期待

-- 今後のソフトブレーン・サービスへの期待をお聞かせください。

今、eセールスマネージャーは携帯電話に対応しています。これをもう一歩押し進めて、世界規模での携帯電話対応を進めてくれれば助かります。製造業関係の仕事は、東南アジアなど海外出張も多くあります。そんなときに、日本で使っているのと同じようにeセールスマネージャーが使えれば便利です。今後の開発項目としてご検討ください。

また、コンサルティング会社としてのソフトブレーン・サービスには、今後も優れた情報やノウハウをご提供いただき、アート電子の営業強化をお手伝いいただければと期待します。今後もよろしくお願いいたします。

お忙しい中、有り難うございました。